春に還る


露を含んで朝(あした)に開き 夕闇の影にひそかに沈む
はかなく短い刹那の邂逅
花びらは散り けれどその命は終わらない
炎熱の夏 透刻の秋 峻凛の冬
季節を渡り 時が至れば蕾は再びほころんで

同じ花は二度とは咲かず
それでも春が来れば花はきっとそこに在る
光を浴びて風に揺れ 輝かしくもいとおしく

春と共に花は逝き 花を連れて春はまた還る
命と想いは時を越え 繋がり永遠にめぐるもの
愛しき人よ 私は願い そして祈る
ああ あなたと共にまた春に還り どこまでも共に生きたいと……
 還春

 開朝露呑隠夕煙  邂逅刹那不終
 過炎夏透秋凛冬  時至蕾破到再見
 春巡而不咲同花  春来而花在必然
 受麗日恵風飄香  光暉鮮芳貌可憐
 花逝春復春還花  命想廻不尽久遠
 夙願青天謝請君  欲還共復春生連

春に還る

露を呑んで朝(あした)に開き 夕煙に隠る
邂逅は刹那なれど 娟(えん)終わらず
炎夏 透秋 凛冬を過ぎ
時 至りて再び蕾の破到するを見る

春は巡りて 而(しか)れど同じ花は咲かず
春は来りて 而して花は必然と在り
麗らかなる日差し受け 恵風に香を飄(ひるがえ)す
光暉 鮮やかなりて 憐れむべし芳(はな)の貌(かお)

花は春と逝き 復(ま)た春は花と還る
命想 廻(めぐ)り尽きずして遠く久し
夙(つと)に願いて青天に謝し 君に請う
共に復た還らんと欲す 生(しょう)連ならん




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