夢の紡ぐ夢 






私は時おり夢に見る
あの日 白い宮を呑みこんだ焔の顎(あぎと)
逃げ惑う人々の骨を割り断つ刃の鈍い輝き
血濡れの骸(むくろ) 滅びの悲鳴
そして時空を超えた幼い希望
―――何もかも伝承の示すとおりに




故国に背いたこの名は地にまみれ
けれどすべては彼の人のため 
暁の光玉 集う道を拓くが我が務め
ならば厭うものは何もない
独り行く荒涼とした地平に昇る蒼ざめた月が私の夢を微白(ほのじろ)く照らし
……そして私は常世の闇にまぎれたひそやかな毒となる




遙かな地にある人よ 
温水(ぬくみず)が包む仮そめの日々が今は平らかであるよう私は祈る
世界は不穏にまどろみながら王の再臨を待っている
やがてその足が豊葦原の地を踏みしめる時 
目覚めた過酷な運命に彩られて旅は始まり
伝承という名の奔流にはあなたでさえ抗うことはかなわないのだから




かつて無謀さと愚かさを購(あがな)ったこの瞳
残された眼にあなたはどんな未来を見せてくれるのか
何も知らないあなたが私をどのような目で見るかはわからないけれど
夢路の逢瀬にあなたは何かを語ってくれるだろうか……






王よ 願わくはひとときの安らかな夢を
私は あなたの夢を見よう











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